今の世界の政治情勢を見るにつけ、日本の「象徴天皇制」はスゴイものだと実感している
不安定な国家、一部のエリートとその他大勢の分化が進む社会では、弱者が自分を代弁してくれると期待できる強力なリーダーを求めるのは歴史が示している。
そのリーダーが本当に民衆のために動くか、自らの権力のために民衆を利用するだけかで大きくその後が異なるが、多くが後者となっているのも事実。
日本はどうか。
戦後70年を過ぎ、幾度となく、国家の問題は内外で起きている。
体制変換を求める動きはあった。
それでも揺るがない民主国家であり続けているのは、天皇制と憲法9条の存在が大きい気がしてならない。特に、天皇の存在が日本のあり方に相当大きな影響を持っていることを感じている。
天皇は誰しも、実質的な権力を持たない存在であることは知っている。
「象徴」という、だれもそれを具体的に説明することができない抽象的な存在。
日本の国民性である、「あいまい」さ。
しかし一方で、「平和」への希求をやむことのない天皇。
実質的な権力を持たないが、でもその存在は明らかに日本国民にとって兄弟で、しかし「神」ではなく人間。実体であるがゆえ、信仰に関する解釈の違いが起きづらい。
選挙で選ばれることなく存在している国家の象徴。
こんな曖昧な天皇という存在が、日本国民が大きな分断をしないとても大きな意味になっているのではなかろうか。
憲法9条とならび、あの忌々しい戦争と原爆投下を経験した戦後日本にとって世界に誇れるのが、今の天皇制ではないかと考える。
そしてそれを体現し続ける今上天皇には頭が下がるし、これからの皇族の皆さんにも続けて欲しい。
ちなみに私は右の人間ではなく、どちらかというと左の人間。
それでも、日本における象徴天皇制は、素晴らしいと考えている。